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英語研修をしたのに、社員が英語を話せるようにならないのはナゼ?

目次


  1. 1.1 英語を話せるとは?
  2. 1.2 英会話のレッスンで、最も多く英語を話すのは講師
  3. 1.3 週1回90分のレッスンで15〜20分話すだけではスピーキングは出来るようにならない
  4. 1.4 英会話レッスンはスピーキングではなく、リスニング?
  1. 2 ライティングでスピーキング力を高めるカギ!
  2. 2.1 スピーキングにありがちなこと
  3. 2.2 ライティングがスピーキングに効果がある理由
  4. 2.3 自分で書いたものを音読するとなお良し
  1. 3 週1回のレッスンでスピーキング力は伸ばせる!
  2. 3.1 「英語をたくさん話す」ことが英語を話せるようになるための最短ルート
  3. 3.2 週1回のレッスンでスピーキング力を習得する方法
  4. 3.3 ロジカルスピーキング
  5. 3.4 週1回90分のレッスンで50〜60分ほど話すとスピーキングは伸びる
  1. 4 社内の英語研修を検討している担当者の方へ

 

英語研修を受けても英語が上達しないってホント?

日本の多くの企業では、社員の英語力を高めようと、英会話スクールに通わせたり、社内で英語研修を実施しています。期待した通りの成果が得られているのでしょうか。

私は過去10年にわたり、これから英語学習を始める方や、もう始めているが正しい学習法を知りたい方に対して「自立英語学習法セミナー」を担当してきました。このセミナーでよくする質問が2つあります。

1つ目の質問は「過去に会社で英語研修を受けたり、英会話スクールに通ったりしたことがある人は手を挙げてもらえますか」です。手が上がらない人がまだまだ多いのですが、多いときで1/3の人が手を上げます。

1つ目の質問で手を挙げている方に対して、2つ目の質問をします。「残念ながら英語を話せるようにならなかった、もしくは満足な成果が得られなかったか方はそのまま手を挙げていてもらえますか」と聞きます。そうすると、半数近くの人が、多いときは半数以上の方が手を上げたままです。

この結果に最初は驚きましたが、もう慣れてしまいました。もしかすると実際には英語を話せるようなったけれども、本人の期待値がもっと高かったのかもしれません。もしくは、本当に英語を話せるようにならなかったのかもしれません。その理由はご本人にあるのかもしれませんし、講師を含めた英会話スクールにあるのかもしれません。

さて、企業が社員に対して時間とお金を投資しても、英語が話せるようにならないことがあるのは間違いなさそうです。なぜでしょうか。どうしたら話せるようになるのでしょうか。

英語を話せるとは?

「●●さんは英語が話せますか?」「●●さんは英語がペラペラだね」と言うとき、「英語を話す」や「英語がペラペラ」の意味は「英語のリスニングとスピーキングの両方ができる」ことを意味することが多いのですが、ここではリスニングは脇に置いておいて、スピーキングに絞って、なぜ英語研修を受講したり英会話スクールにかよったにもかかわらずスピーキングができないのか、どうしたらスピーキングができるようになるかについて説明したいと思います。

英会話のレッスンで、最も多く英語を話すのは講師

英会話のレッスンについては、話せるようになることもあれば、そうでないこともあると私自身が講師をしていて思います。なぜ英会話のレッスンで話せるようにならないかの分かりやすい理由を先に挙げると、レッスン中にスピーキングをあまりしていないからです。

例えば、受講生のAさんは、4名のグループレッスンを週1回受講していて、1回のレッスンが90分だとします。一般的に、90分を通して一番多く話すのは講師です。講師は、アクティビティーの指示を出したり、フィードバックをしたり、単語・文法・発音などの解説をしたり、生徒からの質問に答えることもあるので、多くの場合講師が一番多く話しています。例えば、レッスン時間の1/3(30分)を講師が話したとします。残りは60分です。

週1回90分のレッスンで15〜20分話しただけではスピーキングは出来るようにならない

仮に、残りの60分がすべてペアワークであり、それぞれが均等に話したとしても、ひとりが話す時間は30分(=60分÷2人)です。実際に英会話の授業を受けたことがある方はお分かりになるかと思いますが、90分のレッスン中に合計で30分も話すことは滅多にないでしょう。なぜなら実際には教材に付属しているオーディオを聞いている時間もありますし、講師がホワイトボードに板書している時間もありますし、テキストに書かれている英文を読んでいる時間もありますし、問題を解くのに考える時間もあります。結果として話す時間は短くなります。

あるいは仮に、残りの60分が4人のグループワークであり、さらに皆に均等に話す機会があったとして、ひとりが話す時間は15分(=60分÷4人)です。3人のグループワークであれば、ひとりが話す時間は20分(=60分÷3人)です。説明するまでもないと思いますが、英会話スクールに通っている時間以外は日本語で生活をしていて、週1回に15〜20分しか英語を話すだけでスピーキング力が上達するとは思えません。

英会話レッスンはスピーキングではなく、リスニング?

株式会社エセンスの代表吉川亨氏(株式会社アルク教育社元取締役副社長)は、ビジネス英語研修を数多く提供してきましたが、英会話を「インプット」のクラスと位置付けています。この考え方は、これまで英会話を「アウトプット」と位置付けていた私にとってはとても興味深いものでした。私なりに解釈するとこうなります。

「英会話のレッスンの多くの時間は講師やクラスメイトが話すのを聞いたり(リスニング)、テキストに書かれている表現を習得する(リーディング)ために使われている。」言い換えると、話す(スピーキング)が十分にされていないことになります。

だからといって英会話レッスンを否定するつもりは全くありません。ここで得たリスニング力や様々な語彙・表現はとても大切です。語彙・表現を知らなければ聞くことができないし、話すこともできません。話すための足掛かりは作られているので、次のステップで話す力(スピーキング力)を発展させください。

単純に考えれば、ひとりの生徒が90分のレッスンの中で聞いている時間が15〜20分で、話す時間が70〜75分であるときの方が話せるようなることは想像しやすいのではないでしょうか。そんな英会話のレッスンを見つければよいと考えます。

ライティングでスピーキング力を高めるカギ!

上述の「自立英語学習法セミナー」の中で、私は毎回このようなことを言います。

「スピーキング力を伸ばしたいのであれば、スピーキングの練習をしてください。加えて、ライティングの練習もしてください。ライティングの練習をすることでスピーキング力を高めることができます。」

ご自身の経験でこんなことは過去になかったでしょうか。とっさに振られた質問に対して答えるとき、一度でも書いたことがある文や文章は話しやすい(スピーキングしやすい)。特に自分で書いた経験がまだ新鮮な記憶として残っている文や文章ほど話しやすいです。反対に、とっさに振られた質問に対して、一度も書いたことがない文や文章で受け答えするのは圧倒的に難しいものです。

なぜ難しいかと言うという問いに対しては、スピーキングとライティングを比較すると分かりやすいです。

スピーキング ライティング
1) 瞬時に「答え」を考える 1) 時間をかけて「答え」を考える
2) それを伝えるための「単語」を瞬時に思いつく 2) それを伝えるための「単語」を思いつく。
思いつかなければ辞書で調べることができる
3) 英語の文法に則って瞬時に「作文」する 3) 英語の文法に則って「作文」する。
分からなければ文法書で調べることができる
4) 分かりやすい「文章構成」で瞬時に話す 4) 分かりやすい「文章構成」で話す
理路整然と書けなければ、分かりやすくなるまで繰り返し直すことができる
5) 伝わる「発音」で瞬時に話す
上記の1〜5を同時かつ瞬時にしなければいけません
5)「発音」する必要はない
上記の1〜4を時間をかけてすることができます

スピーキングにありがちなこと

要は、スピーキングでは、単語が思いつかなかったとしても辞書を調べる時間はないので、その時点で知っている単語や文法を使って言い表すことが求められます。これを続けると、知っている単語や文法ばかりを繰り返し使うことになるので流暢にはなります。しかし、新しいインプット(新しい学び)はありません。

加えて、スピーキングには相手がいるため、間違えても直すだけの時間のゆとりがなく、間違えたままになることがよくあります。後でこう言えばよかったと振り返ることができればまだよいのですが、それもなければ間違えたままになります。

ライティングがスピーキングに効果がある理由

一方で、ライティングでは、知らない単語(これまで使ったことがない単語)は辞書で調べて使ってみたり、これまで使っていなかった難しい文法項目(例:関係代名詞)を使ってみたり、分かりやすく伝えるだけでなく説得力を持たせるためのつなぎの表現(例:In my opinion, First, Second, Third, As a result, For these reasons)を使ってみたりすることができます。そして、書いてみて分かりにくいなと思ったら、PC上でカットアンドペーストを何度もして直すこともできます。

ライティングについても、一度書いたら終わりではなく、同じトピックもしくは違うトピックで何度も繰り返すことが大切です。同じトピックならば、内容をより深く堀り下げて書けばよいですし、違うトピックで書けば新しい単語を覚えることができるだけでなく、文法やつなぎの表現などは共通するものも多いので定着するでしょう。また、繰り返し使ううちに無意識に使えるようになるでしょう

自分で書いたものを音読するとなお良し

そして、自分で書いたものを声に出して読んでみる(音読)のも効果的です。その際には、発音にも気をつけるとよいです。繰り返し音読をして暗唱をできるようにしてみてください。自分で書いた文章ですので、暗唱するのにそれほど苦労はしません。暗唱できるレベルにまでなると、会話の中でとっさに振られた質問に対して、瞬時に分かりやすく受け答えすることができます。

手順をまとめると、このようになります。

1)1つのトピックについて繰り返し書く
2)さまざまなトピックについて書く
3)書いたものを繰り返し音読して暗唱ができるようになる

これを続けることで、たとえこれまでに一度も質問されたことのない内容のものであっても、これまでに書いてきたことをベースにして受け答えすることが可能になります。

週1回のレッスンでスピーキング力は伸ばせる!

ここまでライティングの練習がスピーキングに役立つ説明をしてきましたが、英語を話せるようになるためには「英語をたくさん話す」ことが大切です。

英語をたくさん話す方法は、いくつもあります。例えば、語学留学のように英語しか使われていない状況に身を置いたり、英会話スクールに毎日通うなどあります。しかし、多くの方がそれをできるとは思えませんし、仕事をしながら英語の勉強をするとなるとなおさらです。もし週1回しかスクールに通うことができないとなったとき、スピーキングを上達させる方法はあるのでしょうか。

週1回しかスクールに通うことができない状況でスピーキング力を伸ばすとなると、上述の「週1回の90分レッスンで15〜20分程度しか英語を話さない」クラスではなく、「話すことに特化したクラス」を受講するとよいでしょう。

「英語をたくさん話す」ことが英語を話せるようになるための最短ルート

話せるようになるための最短ルートはあくまでも「たくさん話すこと」です。例えば、楽器やスポーツを習得するプロセスを思い出してください。誰かが上手にピアノを弾いているのを聞けば聞くほど、だれが上手でだれがそうでないかを判断できるだけの耳を養うことはできます。しかし、どれだけ聞いても聞いているだけでは、ピアノを弾けるようにはなりません。スポーツも同じです。

そして、英語も同じです。聞けば聞くほどリスニング力は上達します。しかし、聞いているだけでは話せるようになりません。話せるようになりたければ、たくさん話すのがよいでしょう。

週1回のレッスンでスピーキング力を習得する方法

週1回のレッスンでスピーキング力を伸ばすためにはどのようなクラスを受講したらよいかを、これまでの説明を踏まえてまとめると次の2つに集約されます。

1)(講師ではなく)受講生が多く話すクラス
2)授業外でライティングの練習をするクラス

このような条件を満たしたクラスが英会話業界にあるかといえば、あります。例えば、日米会話学院では「ロジカルスピーキング」と言うクラスがあります。しかし、一般的にはそれほど多くないというのが私の印象です。

ロジカルスピーキング

このクラスでは、毎回話すトピックが異なります。ある週は「提案する」、その次の週は「賛成・反対する」、「依頼する」、「進捗を説明する」などです。

ある週のトピックが「提案する」だったとします。その週のレッスンでは、クラス内で受講生は様々な内容の「提案」をします。異なる内容の提案を繰り返しすることで、提案に必要な決まり文句をなめらかに話すことができるようになります。しかし、その場で与えられたお題(内容)についてとっさに話すため、辞書を使うことができないので知っているボキャブラリーだけで話すことになりますし、英語でロジカルな文章構成で話すことを意識していたとしても、とっさに話すときは話す内容に意識が向くため、聞き手にとって分かりやすい話し方にはなっていないこともよくあります。

そこで、受講生はレッスン後にクラスで練習した内容を宿題として書き(ライティング)ます。書く時には、語彙、文法、文章構成などをさらにブラッシュアップさせて精度の高い文章に仕上げます。それを講師に提出します。講師は、書かれた文章を語彙、文法、文章構成の観点から添削をして、さらに精度の高い文章にしてから受講生に返却します。

受講生は添削された文章を受け取ったら、暗唱ができるようになるまで繰り返し音読をします。もともとご自身で書いたものがベースになっているので、覚えやすいです。加えて、講師が添削した個所などは、新しい学びとなり、英語力を引き上げます。

ちなみに、授業を受けて、宿題を提出し、添削された宿題を受け取り、暗唱するまでのプロセスを1週間で行います。

週1回90分のレッスンで50〜60分ほど話すとスピーキングは伸びる

ロジカルスピーキングは、90分のレッスンで各受講生が話す時間が50〜60分ほどになるように作られています。講師が話す時間は、その週のトピック(例:提案する)のモデルとなるスピーチを見せたり、受講生が話したことに対してフィードバックをしたりする時間ですが、レッスン時間の多くは受講生が話すことに使われます。受講生は、クラス全体に向かって発表することもありますし、ペアワークも数多く行います。

ここまでは英会話スクールによくある1レッスンの長さを90分に設定してお話をしてきました。ロジカルスピーキングは、週1回、各90分のレッスンを12週かけて行うこともありますが、最も多いのは以下の通りです。

実施例:
‐週1回、各120分のレッスンを12週実施
‐週2回、各60分のレッスンを12週実施

1回のレッスンが120分になると、受講生がレッスン中に話す時間はより長くなります。講師が話す時間を全体の1/3(40分)としたとき、残りの90分を受講生が話すことになります。

繰り返しになりますが、話せるようになるための最短ルートは「たくさん話すこと」です。楽器やスポーツと同じで聞いたり見たりしているだけでは、楽器やスポーツを習得することはできません。そして、英語も同じです。聞けば聞くほどリスニング力は上達します。しかし、聞いているだけでは話せるようになりません。話せるようになりたければ、たくさん話すのがよいでしょう。

社内の英語研修を検討している担当者の方へ

社内で英語研修を検討している担当者の方々の多くは、数社の英会話スクールに問い合わせをされると思います。そして、貴社が求めるゴールや、貴社の社員様の英語力を説明されると思います。その際に、スピーキング力を伸ばしたいことを伝えた上でこのように伝えてください。

「レッスン時間中は、受講生が話す時間を多く確保してほしい。できればレッスン時間中の7割近くを生徒が話す時間にしてほしい。授業時間外は、ライティングの課題を出してほしいし、レッスンの内容に沿ったライティング課題がよいです。」

英会話スクールによっては、上記の条件を満たしたクラスがあるところと、ないところとでてきます。なかったとしても、その条件を満たすような提案をしてくれるはずです。例えば、そのスクールに既にある複数のクラスを組み合わせたり、完全にカスタマイズしたりして提案してくると思います。その中から、最も成果が出ると思われるものを選ぶとよいでしょう。